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内科の病気

慢性腎臓病治療指針のアップデートについて

<4年ぶりのアップデート>

はじめまして、
2月から総合診療科を担当させて頂いている獣医師の河野です。

2023年、約4年ぶりに慢性腎臓病のステージ分け、および治療指針がアップデートされました。

IRIS分類(2023)はコチラ↓
http://iris-kidney.com/pdf/2_IRIS_Staging_of_CKD_2023.pdf

なぜ分類が必要なのでしょう?
それは分類することによって早期治療介入を行い、腎臓の機能低下をなるべく抑える治療を行うとともに、各ステージで根拠に基づいた治療を行う為になります。



<慢性腎臓病について>

そもそも、慢性腎臓病とはどのような病気なのでしょうか。

慢性腎臓病とは、加齢や遺伝的要因、その他さまざまな原因によって慢性的に腎機能が低下していく状態を指します。

腎機能が低下すると適切な尿を作れなくなり、体の中に老廃物が溜まっていきます。




<IRIS分類とは?>

IRIS分類とは、国際獣医腎臓病研究グループによって4〜5年毎に更新される、慢性腎臓病に関する治療指針です。

前回の2019年から、新たに2023年アップデートされました。重症度にしたがってステージ1〜4に分類されます。




<分類のために調べることは?>

IRIS分類を行うために調べる項目は、血液中のクレアチンSDMAという項目になります。
これらの数値がどのくらいかでステージ分けを行います。

また、悪化要因である蛋白尿血圧に関しても、補助的に見ていきます。




<最後に>

慢性腎臓病は犬でも猫でもとても多い病気の一つです。

慢性腎臓病の原因には、
・老化によるもの
・遺伝的要素
・腫瘍性疾患
・他の疾患の続発症(糖尿病など)
など、多岐にわたります。

腎機能を悪化させる基礎疾患の存在を除外するために、画像検査や内分泌検査などを行う必要性もあります。

その上でIRIS分類を礎に腎臓をいかに守っていくか、かかりつけの先生とご相談頂ければと思います。


また、ルカどうぶつ二次診療クリニック総合診療科ではセカンドオピニオンも受け付けております。
飼い主さんと動物の笑顔のために、こちらもご利用頂ければ幸いです。


総合診療科 獣医師
河野 和一郎